ここ最近、今やっていることについて、 違う業界の方々とお話をさせていただくチャンスがありました。
その話の流れで、世の中のヨガの認識ってまだまだ= ストレッチ体操なのだなぁと、 改めて思わされる出来事がありまして。
詳しく説明する場でもなかったので、 まぁそれでもいいかと遠くを見て…。
愛好家の方々すみません。
勝ち負けのあるスポーツやダンスなど、 一線で活躍している方々からしたら、ヨガは準備体操の代わり。 それも間違ってはいないような気もするのです。
実際、 ヨガは他のスポーツのクロストレーニングに活かされますし、 身体のメンテナンスやリカバリー要素もふんだんにあります。
昔はダイビング、 今はサーフィンやスノーボードを趣味としてやらせてもらっている のですが、普段からそんなヨガの恩恵を味合わわせてもらっている1人なので 、言わんとしている事も分かるのです。
ところで、伝説のダイバー ジャック・マイヨールや、 サーフィン界のレジェンド ジェリー・ロペス。
他にも各界の偉人たちが、 日頃からヨガを実践されているのは有名な話です。
それも数年ということではなく、何十年も。 私よりもっとずっと長い時間を、本業(というのかな) と並走させて。
しかしながら、 彼らがストレッチやリカバリーのみをヨガの恩恵として、 長年やってきたのかなということ。
もちろんそれだけでも充分ではあると思いますが、 できるだけリラックスした形で自然と繋がったり、自分を見失わない心の余裕、冷静さ、 呼吸による自律神経のコントロールなど、ヨガの恩恵 をうまく取り入れていたとしたらどうでしょうか。
冒頭の話にもどりますが、昔の私なら「ヨガは準備体操やストレッチだけでは無いのです。」 と、熱くなったかもしれません。
ただその時は、
語らずともただそこにあればいいんだよ。
ヨガにそう言われた気もして。
それでも知りたいな、「結局ヨガって何?」 という方もいらっしゃるかもしれませんので、今回はヨガの体系 について、少し書いてみたいと思うのです。
ヨガには「八枝則/はっしそく」なるものがありまして、ヨガは「 8本の柱」 で成り立っていますと。
これはヨガの経典「ヨーガスートラ」 に書いてある基本的な教えであり、 ヨガマップを書くならば中核を成すものです。
【ヨガの八枝則】
① Yama(ヤマ) やってはいけない5つの戒め
② Niyama(ニヤマ) やるべき5つの教え
❸ Asana(アサナ) 座法・ヨガのポーズ
❹ Pranayama(プラナヤマ) 呼吸法
⑤ Pratyahara(プラティヤハラ) 感覚の抑制
⑥ Dharana(ダラナ) 集中
⑦ Dhyana(ディヤナ) 瞑想
⑧ Samadhi(サマディ) 悟り
以上8つを、さらに3つのグループに分けるなら、
①②は、道徳的な教え
❸❹は、ポーズと呼吸法
⑤⑥⑦⑧は、瞑想の段階
つまり、教え・ポーズ・瞑想のステップの構成になっております。
八枝則からみても、ヨガは身体を動かすアサナ(ポーズ) だけで成り立っているのではないことが分かります。
ですから、ヨガは瞑想から入ってきたよ。 という方々にも出会ってきましたし、私のようにポーズから入って、瞑想・哲学・解剖学・ 伝承医学のアーユルヴェーダ(私は中医学)など、 好奇心のありかを掘り下げていくことも出来ます。
私が今伝えているヨガの本部はNYにありますが、 そこでは歌うヨガのキルタンや、寝たまま行うヨガニドラ、輪っかを使ったヨガウィール、ペアで行うアクロヨガなど、 様々な種類のヨガも行われています。
また、ベジタリアンやヴィーガンなど、 食や衣類に至るまでそれぞれの哲学が枝葉を広げていきます。
現代ヨガのビジネスシーンでは、
❸ Asana(アサナ) 座法・ヨガのポーズ
❹ Pranayama(プラナヤマ) 呼吸法
の1グループをうまく抜き出して、 大手企業がフィットネスやエクササイズとして打ち出しているのが 主流です。
運動不足解消やダイエットのニーズにうまく引っかかっているし、 スポーツジムもたくさんの方の始めるきっかけになっています。
ヨガスタジオでは、もう少し専門的なワークショップ、瞑想・哲学・ 解剖学などの座学クラスも開催されています。
蓋を開けてみると、 ヨガほど選択肢が多いカテゴリーはちょっと珍しいのではないかと 思います。
たまにピラティスとの違いも質問されますが、 ピラティスは負傷兵が必要とした、 寝たままできるリハビリから始まったと聞いています。
それに比べてヨガは座るため、つまりは“瞑想する身体づくり “の ためにポーズはあり、 心身が調和した状態をつくることを目的と捉えています。
心身共にストレスを抱えた現代人が、 いきなり瞑想するのは無理がありますよね。
瞑想というより、まずはじっと座る。 一見簡単そうでシンプルなこの動作だけでも。
『ヨガは誰もが知っているが、 いざ取り組んでみると思うようにはいかない。』
ジェリー・ロペスもインタビューでこう語っています。
ヨガの語源はサンスクリット語の「ユジュ」であり、結ぶ・ 繋ぐという意味合い があります。
つまり、インドで生まれて4500年以上も続いているヨガとは、「 精神と肉体を繋いで統一させる」 ものであり、
ヨーガ チッタ ブリッティ ニローダハ
(ヨガ・スートラ第一章 第2節)
ヨガスートラでは、「ヨガとは心の作用の止滅である」 と定義しています。
心のさざなみを鎮めた時、本当の私たちの正体は「それ」 とひとつになると。
ヨガスートラは優しくて、その方法を示してくれていますが、 どんなに頭で理解しようと「今ここ」にいなければ、 それは無理なハナシなのです。
コラムも最後になりましたが、ここまで書いておきながら、 また同じようなシチュエーションになっても上手く言えない気がす る私です…
何というか、正解を求めれば求めるほど、 ヨガはヨガから遠くなるというか。
ヨガを声高に語れば語るほど、 本質から遠のく気がしてしまうのですよね。 言葉でいい尽くすことができない。
これはヨガであちらはヨガでないというようなジャッジメントから外れていくのも「ヨガ」のような。
経験して分かるもので、 やっているうちに形も変わっていくものですから、 まずはやりたいようにやってみるのが良いかなと。
人は必要な時に、必要なものに出会うものですし。
運動部的にも、文化部的にもアプローチ出来るヨガ。 でも経験してみないと分からないのは、恋と同じでしょうか、ね。
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